紀元前6世紀にピュタゴラスは音程を物理学的に測定した上で数学的な分析を加え、音響調和の理論を基礎付けた。
この音響論に始まる音楽理論は19世紀にまで影響を与えている。さらに中世ヨーロッパにおいても自由七科(septem artes liberales)のひとつとしての音楽の理論的研究は盛んであった。
だが中世においては、音楽が算術、幾何、天文学とともに数学的四科のひとつであっ たこともあって、
どちらかといえば音程や音の長さなどが興味の中心であった。
いわば自然科学的音楽学というべきものが発展し、今日のようなたとえば様式研 究などはされることがなかった。この傾向はルネサンス以 降も続くが、
18世紀に至って今日の意味での音楽学の萌芽がみられはじめる。
19世紀後半、ヤーコプシュタールやアードラーによって、歴史的音楽学(音楽 史、特に西洋音楽史、記譜法や楽器の歴史)と体系的音楽学(民族音楽学、和声・対位法などに関する理論的研究、音楽音響学、音楽心理学、音楽美学、音楽教 育学など)に分けられ、今日の音楽学が基礎づけられた。
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